約25年ぶりの LaTeX
当サイトは WordPress を使って作成しているのですが、前回の投稿「4面体の内部か外部か」にサラスの公式を載せる際「数式をきれいに表示する方法」について調べてみました。その結果「Simple Mathjax」というプラグインを使えば表示できるということがわかり、早速インストールしたところ問題なく数式が表示できています。
というわけで結果は問題なかったのですが、このプラグインに関して非常に驚いたことがあって、それは数式の入力方法がなんと LeTeX 形式ということ。LaTeX(読み方はラテフ)なんて目にしたのは約25年ぶりです。もう LaTeX なんて企業では使われていないでしょう(大学などアカデミックな業界では愛好者も多いようですが)。
私は学生時代はワープロを使ったことがなく、レポートや卒論や修論だけでなくちょっとした手紙まですべて LaTeX で作成していたので、それなりに LaTeX マスターというレベルに達していたのではないかと思います。卒業して社会人になってからもワープロを知らないので LaTeX を使っていましたが、会社の人から「互換性がないからいい加減やめてくれ」と言われて Word に乗り換えました。大学の研究者ならともかく、企業においては「使えるのが自分だけで他の人は編集できない」というのはさすがに駄目でしょうから、このときに LaTeX を完全に捨てたのは仕方がなかったと考えています。
ただ、学生時代に使っていた LaTeX トータルガイドは今でも持っています。使うことはありませんが、まあ記念品みたいなものです。
今回のプラグインで久しぶりに LaTeX を見て、自分の修士論文を探してみました。ソースコードの一部を抜粋するとこんな感じで、知らない人が見たらわけがわからないはず。
(2.4.3)式、(2.4.4)式から $V_i^\ast$ を消去すると、渦度 $\gamma_i$ に関する積分方程式が得られる。
\begin{eqnarray}
& & \dfrac{1}{2 C_i\,(x_i)} \int_{x_i}^{\frac{L_i}{2}} \gamma_i\,(\xi_i,t)\,d \xi_i - \int_{-\infty}^{\frac{L_i}{2}} \gamma_i\,(s_i,t) \left\{ \dfrac{1}{2 \pi} \dfrac{1}{x_i- \xi_i} + \dfrac{\partial H_i^{(\gamma)}}{\partial y} (x_i,0\,;\xi_i,\eta_i) \right\} ds_i \nonumber \\
& & \ \ \ - \sum_{j=1,j \ne i}^{N} \int_{-\infty}^{\frac{L_j}{2}} \gamma_j\,(s_j,t) \dfrac{\partial G_j^{(\gamma)}}{\partial y} (x_i,0\,;\xi_j,\eta_j)\,ds_j \nonumber \\
&=& \int_{-\frac{L_i}{2}}^{\frac{L_i}{2}} \sigma_i\,(s_i,t) \dfrac{\partial H_i^{(\sigma)}}{\partial y} (x_i,0\,;\xi_i,\eta_i) ds_i \nonumber \\
& & + \sum_{j=1,j \ne i}^{N} \int_{-\frac{L_j}{2}}^{\frac{L_j}{2}} \sigma_j\,(s_j,t) \dfrac{\partial G_j^{(\sigma)}}{\partial y} (x_i,0\,;\xi_j,\eta_j)\,ds_j \ \ \ \ \ \ (i = 1,2,\,\ldots,N )
\end{eqnarray}
したがって、この積分方程式を $\gamma_i$ について解けば、船体に働く圧力分布を求めることができ、それによって船体に働く横力と船体中央まわりのモーメントが求まる。
これをコンパイルすると、下のようになります。つまり LaTeX は文章を作成するためのプログラミング言語みたいなもの。数式のきれいさは抜群なんですが、いかんせん習得の敷居が高い。
しかし自分の修士論文も久しぶりに見てみたんですが、学生時代はこんな数式をひねり回していたことに自分でも驚きます。
確かに自分で書いたものではあるのですが、しかし数学のお化けかよ。
久しぶりに LaTeX をみて感慨に耽ってしまいました。今後も当サイトにおいて数式が現れたら「まだ LaTeX を使っているんだね」と思ってください。
LaTeX に興味があるという奇特な方はこちらもどうぞ。